悲球伝

伝説シリーズ9作目「悲球伝」読了。

「いっそのこと飛ばしてしまってもいいような一冊」とあとがきで書いている通り、送りバントのような、繋ぎの一冊。燃えよドラゴンズでいうと「2番井端がヒットエンドラン」のところだ。

 

ただし、2番井端がヒットエンドランをするからこそ3番福留がタイムリーを打ち、4番ウッズがホームランを打つことで燃えよドラゴンズの歌は完成するように、おそらくこの一冊も必要な一冊だったのだろう。

そして燃えよドラゴンズの下りは全く必要がない。

 

視点切り替えがちのこのシリーズ、今作も視点を3つに切り替えながら進む。読み辛いよう、街はなるべく一人ずつ進めていくタイプだようと思いつつも、細かい謎の実態は何なのか、全体像はどうなっているのかを予想しながら読んでいくのは面白かった。何一つ当たらなかったけど。

ただ明示されるの答えは、推理というより西尾維新維新がやりそうな展開を想像したらたどり着けない答えではなかったと思うので、フェアの範疇だったと思う。

 

いつもの会話劇が長々と続く今作、まさしく傑作マーベラス!と言えば嘘になるけれど、ラスト手前の助走としては良かったのかもしれない。今は続きであり最終巻である悲終伝を読みたくてたまらないし。

バントにしろ、ヒットエンドランにしろ、ホームランにしろ、最終的に試合に勝てばそれで良い。むしろ試合で負けても最終の最終的に優勝して日本一になれればそれで良いのと一緒で、最終巻を読んだ時の感想が最高傑作マーベラス!となっていれば、それで良いのだ。

 

果たして。

 

悲球伝 (講談社ノベルス)

悲球伝 (講談社ノベルス)