Chaos;Child -Children’s Revive- 

スピンオフやアフターストーリーで本編に匹敵することはない。そんなふうに考えていた時期が俺にもありました

そんなわけでカオスチャイルドの後日談を描いた今作、「Chaos;Child -Children’s Revive-」読了。

そもそもカオスチャイルドという作品は本編の締め方があまりにも美しいためそれ以上はどう転んでも蛇足にしかなりようもなく、ファンディスクであるLCCも作中で蛇足という表現をしていたがさもありなん。そんなふうに考えて(ry

 

今作の何が凄いって、旧新聞部のメンバーたちをを中心に事件とカオスチャイルド症候群を経た苦難と成長をとても丁寧に描いていて、特に象徴的なのはヒロインズの2人に思いを寄せる新登場人物が出てきてデートまでするところだと思うんすよ。

完全なギャルゲーではないものの恋愛要素があるゲームが原作でこれは凄い。というか普通ならNTRの雰囲気が少しでも出るのは絶対に禁じ手。でもamazonレビューの高評価を見てわかる通り、それがマイナス評価になるどころか説得力を持って事件後の苦難、成長を表現出来ている。

 

加害者家族への偏見、CC症候群後遺症の描き方。特にCC症候群は架空とは思えないくらい描写が丁寧でリアリティに溢れていて、デート中エレベーターの扉が開いたときに一同が身を竦めたエピソードは、作中に登場する「人に話を聞かせるときに必要なのは、物語と具体例」という言葉を体現している。

男の子とデートする。そんな当たり前のことをしただけで日常にある「一般人」との違いの描写があまりにも生々しく、辛くて苦しくて、だからこそ信念を持って言葉を紡ぐ姿が際立ったし、前述したように高評価へ繋がったのだろう。

このエピソードを読んだとき思い出したのが、出身地を聞いたときに、ほんの一瞬間が空いてから「福島です」と言われたことが何度かある。その一瞬の間が何ともやりきれない。おそらく現実にある、そういうことも含み書かれているのは間違いない。だからこそ、有村の言葉はグッと来てしまったな。

 

そして原作で拓留並に可哀想な存在だったあの人にも焦点は当たる。ちなみにそのエピソードは漫画で発売された久野里さんの前日譚に絡められているので読んでいたほうがなお良いですよ。強引すぎる手段も納得出来る、かも。(華ちゃん風)

有村のエピソードも涙腺に来たけど、このエピソードはさらに涙腺崩壊待ったなしだった。

辛くて悲しくて、優しくて愛おしい。

 

からのラストエピソード。

明治神宮で彼女が見た風景は、どこまでもそして美しい。

 

Chaos;Child ?Children’s Revive? (講談社ラノベ文庫)

Chaos;Child ?Children’s Revive? (講談社ラノベ文庫)