傷物語 Ⅲ冷血篇を見に行った。
感想としては、まず序盤のやりすぎなくらい和やかな雰囲気は原作既読なので「アカン…」という気持ちでいっぱい。落差のための前フリなのはわかっていても、それでもいざあのシーンは演出の上手さも重なり背すじに冷たい物が走る思いだった。
そもそも、今作は演出があらゆる方面に過激でいて上手だったのが印象的。
エロさ、現実を直視した時の体育倉庫破壊、最後のバトルシーン、エロさ(27文字振り二回目)。
特に不死の生物同士でしかありえない戦闘シーンは、劇場版でしかありえない戦闘シーンでもあり、どう考えてもテレビで出来ない。まあ全三部作どれも出来ないシーンだらけだった気もする。
その辺りの派手なシーンもそうだし、個人的に印象に残っているのが光の演出。
一作目から日の丸は象徴として使われていて、単純に吸血鬼は太陽光が弱点だから一種のエンブレムとして使われていたのかと思ったけど、今作は少し趣が違った。
競技場での観客が見守るかのように包囲している日の丸の旗。
日の丸は吸血鬼の弱点、太陽の象徴でもあるけれど、本来は人間が作り出した最大級のコミュニティである国(日本制アニメだし)の象徴だ。つまり、吸血鬼と対立構造にあたる人間の象徴として描かれていた。
そう考えると、キスショットが完全体でいた時に日の丸の旗がことごとく雨に濡れて項垂れるかのように下がっていたのもそういうことだよね。人間は吸血鬼に被食者として項垂れる、頭を垂れるしかない。
また冒頭キスショットと対話時のスポットライト。
あれもよくやるようなシャフト独特の演出かと思ったけど、人類にとって一番監視しなければいけない存在だから、スポットライトを浴びせるのだ。
ただ残念なのが、あれが着いたり消えたりしてたのがどんな会話のタイミングだったのか覚えていない。たぶんそれも意味があったと思うんだけどな。
もう一つ、体育倉庫に降り注ぐ十字架様の光。
これはもうわかりやすく、吸血鬼を助けた上自身も腹が減るという形で吸血鬼化が進む阿良々木くんに、吸血鬼の弱点である太陽光が同じく弱点である十字架の形で降り注ぐことは、阿良々木くんへの断罪でもあり、人類が敵になってしまった事実の後悔を表している。
ここで一番大事なのは、その阿良々木くんを助けに来た羽川さんが小さな懐中電灯で照らしてあげたこと。あれは単純にライトアップするという目的もあるんだろうけど、二人を照らすライトは羽川さんが味方になってあげたということをより強調する効果もあったのだろう。
あったのだろうけど、結局印象に残ってることは、羽川さんがエロかった(824文字振り三回目)。
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/05/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 44人 クリック: 699回
- この商品を含むブログ (359件) を見る