EVE rebirth terror

EVE rebirth terror終了。

このシリーズ、95年にEVE burst errorを元としていくつもの続編があるものの権利の問題から原作者である剣乃ゆきひろ氏が関わっていない上に、氏は既に他界されている。

作者を変えて作られた続編も、魅力的なキャラクターや設定を活かすことが出来ず、キャラ崩壊設定が加わったり(麻薬王まりな)SF部分が破綻していたり(イルカ通訳)と、コレジャナイものがほとんどだった。

ということを踏まえて今作の感想。

 

最高じゃないっすか。

 

原作を越えることはおそらく原作者にしか出来ないけど、原作へのリスペクトがあれば満足する続編を作れるという意気込みが存分に盛り込まれた内容だった。

格好良かった小次郎まりながそのまま格好良く、トロフィーに関わる文章も原作好きな人に向けてあり、BGMもEVE burst errorのものがそのまま使われているのだから何の不満があるものか。

それでいてちゃんと他シリーズの要素も混ぜてくる上、悦楽の学園まで拾ってくる本気度見せられたら傑作と言うしかないです。どうかしてるぜ。

 

そして何より感動したのがネタバレ要素になるのでなるべくは伏せて書くけれど、終盤に出てきたキャラクターの声優。

ただでさえシナリオに感動しているのに、最後まで「EVE burst error」が好きな人に向けて作りきってくれたのが伝わり感動&感動。

 

EVEシリーズで失敗してきた、届かなかった部分に初めて届かせた「EVE burst error」の続編だった。

24年の時を経て平成の終わりにここまでの尽力を注ぎ込み完璧な続編を作り上げ、平成の終わりに剣乃ゆきひろ氏のことを思い出させてくれたスタッフさんに感謝。

 

EVE rebirth terror(イヴ リバーステラー) - PS4

EVE rebirth terror(イヴ リバーステラー) - PS4

 

 

余物語

物語シリーズ余物語を読了。

西尾維新にとってふとしたアイディアは全て物語シリーズで消化できるのではというくらいどんなエピソードも出来るようになってきたこのシリーズ。

少女不十分の話が実話だと思うほどは若くないつもりだけど、児童虐待西尾維新にとって大きなテーマの一つなのは間違いない。

 

本編の彼女がこれから幸せになれるのかは全くわからないけど、おまけのように毎回掲載されている撫子のストーリーが一種のアンサーでは。

やらかした人が頑張って幸せになろうとしても良いじゃん。

頑張らなきゃ駄目だし、頑張っても幸せになれるかはわからないけど、幸せになろうとしても良い。

そんな未来が見える気がした。

でも少女不十分にそんなことも書いてた気がする。

 

なんにせよ西尾維新の本は厳しくてエグくて突き放すし、他のシリーズはバンバン人が死んだりするけれど、救いと優しさの気配も感じさせてくれるから好きなんだろうなあ。

やらかしたことない人はいない。

人は誰でもしくじり先生

次巻が合計100冊目とのこと。期待せずにはいられないね!

 

余物語 (講談社BOX)

余物語 (講談社BOX)

 

 

 

Chaos;Child -Children’s Revive- 

スピンオフやアフターストーリーで本編に匹敵することはない。そんなふうに考えていた時期が俺にもありました

そんなわけでカオスチャイルドの後日談を描いた今作、「Chaos;Child -Children’s Revive-」読了。

そもそもカオスチャイルドという作品は本編の締め方があまりにも美しいためそれ以上はどう転んでも蛇足にしかなりようもなく、ファンディスクであるLCCも作中で蛇足という表現をしていたがさもありなん。そんなふうに考えて(ry

 

今作の何が凄いって、旧新聞部のメンバーたちをを中心に事件とカオスチャイルド症候群を経た苦難と成長をとても丁寧に描いていて、特に象徴的なのはヒロインズの2人に思いを寄せる新登場人物が出てきてデートまでするところだと思うんすよ。

完全なギャルゲーではないものの恋愛要素があるゲームが原作でこれは凄い。というか普通ならNTRの雰囲気が少しでも出るのは絶対に禁じ手。でもamazonレビューの高評価を見てわかる通り、それがマイナス評価になるどころか説得力を持って事件後の苦難、成長を表現出来ている。

 

加害者家族への偏見、CC症候群後遺症の描き方。特にCC症候群は架空とは思えないくらい描写が丁寧でリアリティに溢れていて、デート中エレベーターの扉が開いたときに一同が身を竦めたエピソードは、作中に登場する「人に話を聞かせるときに必要なのは、物語と具体例」という言葉を体現している。

男の子とデートする。そんな当たり前のことをしただけで日常にある「一般人」との違いの描写があまりにも生々しく、辛くて苦しくて、だからこそ信念を持って言葉を紡ぐ姿が際立ったし、前述したように高評価へ繋がったのだろう。

このエピソードを読んだとき思い出したのが、出身地を聞いたときに、ほんの一瞬間が空いてから「福島です」と言われたことが何度かある。その一瞬の間が何ともやりきれない。おそらく現実にある、そういうことも含み書かれているのは間違いない。だからこそ、有村の言葉はグッと来てしまったな。

 

そして原作で拓留並に可哀想な存在だったあの人にも焦点は当たる。ちなみにそのエピソードは漫画で発売された久野里さんの前日譚に絡められているので読んでいたほうがなお良いですよ。強引すぎる手段も納得出来る、かも。(華ちゃん風)

有村のエピソードも涙腺に来たけど、このエピソードはさらに涙腺崩壊待ったなしだった。

辛くて悲しくて、優しくて愛おしい。

 

からのラストエピソード。

明治神宮で彼女が見た風景は、どこまでもそして美しい。

 

Chaos;Child ?Children’s Revive? (講談社ラノベ文庫)

Chaos;Child ?Children’s Revive? (講談社ラノベ文庫)

 

 

劇場版シティーハンター(ネタバレ)

劇場版シティーハンター

感想をネタバレ無しで書くのは不可能なので、未視聴でシティーハンター好きな方は読まないほうが良いです。というかそういう人は素直に劇場版を見に行ったら良いです。損はしない。

ちなみにシティーハンターはネタバレを読んだところで何の問題ない説あるけど、シナリオじゃない部分なので要注意です。むしろシナリオはネタバレしない。例えばCMで流れていたけどGET WILDがかかること知らずに見たかったというような感じのネタバレ。

あとついでに見る前の心境も書いておくと、当時好きだったから行ったものの大化けするイメージはまるでなかったし、どちらかと言えばスポンサーを集めやすいから作られただけなんだろうなあと、不安のほうが大きかったのです。

 

そんなわけでネタバレ含めて書いていくので、改めて未見の人は読まずに是非見に行ってください。面白かったよ。

 

前述したような不安の中オープニングが始まり、現代における新宿の町並みで派手な銃撃戦カーチェイス。その時にかかるBGMはANGEL NIGHT。その音楽を聞いた瞬間、全ての不安は吹き飛び完全に引き込まれました。これ絶対原作愛ある人向けに原作愛ある人が作ってくれた映画だ。

今作はとにかく歴代の楽曲が所々に紛れ込んでいて、そんなことされたらシティーハンターを見ていた、名曲が心に刻み込まれた当時の年齢に、自然と戻ってしまうじゃないか。

正直な所、挿入歌が多すぎてぶつ切りに感じる瞬間もあったし、製作者側もそのことに気づいていなかった訳がないけど、それでもなるべく多くの歌を流すことを優先してくれたのは本当に嬉しかった。音楽がかかる度にワクワクしたもの。

もっこりやしらけトンボも面白いかで言えば微妙なとこだけど、今作は当時のシティーハンターを現代に持ってくるのが目的なのは明らかなのでこれもまた正しい。わーいシティーハンターだあ!

冴羽獠がパチンコ玉を弾くシーン。何故かラリアットが得意な所。跳弾。流石にそれは弾当たるやん蜂の巣やん。海坊主面白い。ファルコン格好いい。あとオーナー。わーいキャッツアイだあ!(順不同)

ここまで喜ばせようとしてくれたら喜ぶに決まってるじゃないですか。わーい。

 

すっかりと心が童心に返りながら物語は終局を迎え、最高に格好良い台詞を言って最高に格好良いイントロ。そしてエンディングよ!

勿論GET WILDが流れる中、当時のエンディングをリメイクしたようなバックにスタッフロールの出方も映画の縦スクロールではなく、まんま当時のエンディングであるスタッフロールの表示方法。そして下部には歌詞の字幕が。当時のエンディングのリメイクとは恐れ入る。正直涙が出そうになりました。最後まで解ってる人達の作品でした。

 

と思っていたらそれは最後ではなく。

 

ま、流石にそこをはっきり書くのは野暮ですね。

視聴済のシティーハンターが好きな人にとって、何を指してるかは言わずもがなですし。

右半分も勿論だけど、途中で「あれ、この曲はそういう使い方なんだ」と少しがっかりしていた部分の回収もされどこまでも期待に答えてくれたし、エピローグにこっそり描かれたあの絵も今後新たな何かが始まりそうな予感を感じさせてくれました。というか、始まって下さいお願いします。クラウドファンディングならお金出します。

 

そんなわけで、あまり期待しないで見に行ったら、まさかの満足度が抜群で終わる劇場版シティーハンターでした。

 

もっこり。

 

 

THE NEXT GENERATION パトレイバー

今更ながらTHE NEXT GENERATION パトレイバーをhuluで視聴。

非が多めの賛否両論という印象のこのシリーズ、パトレイバーに何を求めるかによって賛否に分かれるのは致し方ないか。

個人的には想像していたよりもずっとパトレイバーであり、押井守らしさを期待していたので十分満足の出来。

原作のキャラクターが不幸になっている説明があったのは納得できないのはあるけれど、アニメ漫画からこれだけ時が経っても実写化にこぎつけたのだから自由にやっても仕方のない部分はある。金を集められるやつが偉いのだ。

筧利夫後藤隊長ポジなのも発表当時はNOだったし、だからこそ今まで見ていなかったが、いざ見てみると悪くない。あくまで別人だし。何より遊馬口調が上手く再現できているし、真野恵里菜が可愛くて仕方ないから良しとする。

 

とりあえずこれから劇場版を元にした最終作。楽しみしかない。

 

ただ何を一番見たいかというと、正当な続編のアニメをやっぱり見たいなあと思わずにいられなかったのもまた事実。幽遊白書リメイク、わたモテ2期、ゆうきまさみ伊藤和典の関わるパトレイバー続編はいつまでも期待してしまうなあ。

 

【追記】

改めて劇場版の首都決戦まで見たので感想追記。

パトレイバーシリーズ、並びに傑作であるパトレイバー2に対して、蛇足でしかなかった。

 

ドラマ「この世界の片隅に」

原作を忠実に、そして完璧に映画化した「この世界の片隅に」のドラマ版を初めて見た。

基本的には原作が最高で、それを忠実に再現した映画版があるのだから見なくて良いやと思っていたけど、たまたまやっていたので視聴。

役者さんも雰囲気も想像していたよりずっと良かったけど、原爆によるきのこ雲でゴジラ感覚のような怖い音楽を流すのと、その引きでCM跨ぎは絶対にやってはいけないことだったと思うなあ。

特に原爆でCM跨ぎに関しては、日本の歴史上最大級の悲劇でそれをやればそりゃ見るけれど、「この世界の片隅に」に限ってはちょっとやってほしい手段じゃなかった。

音楽に関してはある種綺麗とも感じてしまう禍々しい悪魔的風景なので、音楽で印象付けることはしてほしくないというのがその理由だ。

 

ちなみにドラマ化に関しては映画が完璧すぎたのでどちらかというと否定的な立場だったけど、漫画アニメが苦手な人というのは必ずいるので(特に高齢者の方)、老若男女すべての日本人に見てほしい作品だからこそ今は肯定派と変わりました。

 

この世界の片隅に

この世界の片隅に

 

 

MOTHER3

誰がなんと言おうとMOTHER3が好きだ。

「ゲームってこんな感じでも良いんだ!」と、ほんの少し世界の多様性を幼心に知ったのがMOTHER2

PSか64のどっちを買ってもらうかも、MOTHER3が発売されるのだから64一択。(あとでPSも買ってもらったけど)

そして、世界に避けようのない理不尽が待ち構えていることがあると知ったのは、MOTHER3の発売中止だった。

 

中止が決まる前、雑誌に掲載されていたMOTHER3の謎ポリゴンにコレジャナイ感はあったので、情報が小出しにされていた間も手放しに進化スゲー!とはならなかったけど、それでもやってみたかった。そんな価値観を吹き飛ばしてくれるのがMOTHERと信じていた。

 

そして数年後のある日、ウトウトしながら内村プロデュースを見ていたら、CMで突然のどせいさんMOTHER1+2発売の情報。そして最後に「MOTHER3もげーむぼーいあどばんすでつくってるです。ぐんまけん。」

あの時の衝撃は今でも覚えている。おそらく情報の初出がCMでかつその時だったんじゃないかなあ。

ここはうろ覚えだけど、テレ朝実況に飛んでいったら衝撃と困惑と、大歓喜の声が多数書いてあった記憶がある。ひょっとしたら一人でそう思っていただけで、実際は作り出された嘘記憶かもしれないけど。

なんにせよ、この時世界には、幸せが歩いてくるどころか瞬間移動してくることもあるのだと知った。

 

そんな紆余曲折し、首を長々と伸ばしに伸ばして発売されたMOTHER3は、MOTHERシリーズが大好きだった人たちをいろいろな形で裏切った作品だった。

 

でも、それで良い。

MOTHERだからそれで良かった。

 

伊集院光もラジオで、誰もが待ちに待った待望のMOTHER3とは思えないくらい衝撃的な、ある意味挑発的なシナリオについて、ネタバレを避けながら笑いも混じえて驚きを言葉にしていた。プロは凄い。

あのシナリオはタブーでもあったけど、それでもあのシナリオだからこそ異様なのめり込み方で最後までプレイ出来た。大人になってゲーム離れし始めていたから、これも凄いことなのだと思う。

 

MOTHERはいろいろな形で、世界の多様性を教えてくれた。だから、MOTHER3がああいう形になったのも僕にとっては何一つ問題はないし、あれで発売されたならあれが最善だった。

衝撃で呆然となったシナリオも、ラストバトルで涙を流していたのも、最後はポカーンとして終わったのも、MOTHER3だから起きたことだし、更に言うならMOTHER2から紆余曲折あり、自分自身も人生経験を積み重ねた状態で、MOTHER3をプレイしたという全ての事実が積み重なってのそれだから、やっぱりMOTHER3は誰がなんと言おうと、大好きなのだ。

 

MOTHER3

MOTHER3